前回の投稿で合わせ出汁が誕生した経緯について学んだことを書きました。今回は合わせ出汁の魅力や性質について記しておきたいと思います。
和食の良さを表現する時に、「優しいお味」とか「お出汁が効いている」と言うのが褒め言葉だったりしますよね。「塩味が強いね」とか「お醤油が効いてるね」というのはちょっと失礼にあたるような。
そう、それは要するに、「お出汁パワー」なんですよね。
お出汁がしっかりとしていると、美味しいわけです。
元来日本食はとても素朴ですよね。肉食が禁じられていた精進料理があり、稲作が発展し野菜が食べられ、島国で漁が中心ということから魚料理も豊富。淡白な食材が多く食されてきました。
淡白な食材にしっかりとした味をつけるのにお出汁が最適だったということのようです。
合わせ出汁は昆布と鰹節を使います。昆布は植物性のうまみ成分が一番強く、鰹節は動物性のうまみ成分が一番強い素材です。この二つが合わさると、相乗効果でうまみがなんと7〜8倍になると言われています。
ちなみに、植物性のうま味成分はグルタミン酸と呼ばれ、動物性のうま味成分はイノシン酸と呼ばれています。
だしのうまみ成分は満腹感が得やすいため食欲が抑えられやすいそうです。また、だしはほぼカロリーが0だそう。100gに対してたったの19kcalと言われています。
だしを摂取し続けることで、舌がうま味を感じやすくなり、日々の食事で調味料の使用が減るとも言われています。減塩効果も期待できるという優れものです。
お出汁、いいことづくしですよね!
ところで、合わせ出汁を取った時、味見してみて、「ん?」と感じたことはありませんか?昆布と鰹の味はもちろんするけれど、だしの素のような味とは少し違うような。。。
そうなんです、合わせ出汁を美味しい!と感じるためには立役者が存在します。
それは「塩」。そして、一番美味しいと感じる塩分濃度は「人の体液と同じ0.9%」なんですって!
これは、塩分測定器を使って調理実習の時に実際測ってみて感じた塩分濃度でした。確かに0.9〜1.0%ぐらいが一番美味しいと感じました。
- うす味=0.4% お吸い物など
- ふつう味=0.8〜1.1% お味噌汁など
- から味=1.2〜1.4%
お吸い物だとお塩とほんの少し薄口醤油を足したりしますよね。お味噌汁はお味噌をときます。だから塩は不要。色々な使い分けができますね。
粉末のだしに慣れ親しんできた私の味覚にとっては昆布と鰹節で取った合わせ出汁はまだ少し物足りなかったりするのですが、合わせ出汁の取り方も回数を重ねるごとに上手になってきている気がするので少しずつ天然のお出汁の味に馴染んできている気がします。
合わせ出汁を入れて作った「だし巻き卵」はとっても優しいお味で幸せな気持ちにすらさせてくれます。お出汁パワーって本当にすごいです!